家電量販店でニコン『Z 50』を見かけてからミラーレス機いいなあと思ったのと、これを機に以前から検討していたカメラボディ買い増しを実現しようか考え始め、いろいろな機種を調べたり触ったりした。
なお自分は写真用途しか使わないので、動画性能はまったく見ていない。
まず候補に挙がったもの。および良い点、悪い点。
- Panasonic LUMIX DC-S5
操作系だけに焦点をあてるとダントツによい。難点はレンズ選択肢の少なさ、AFスピード。AFスピードはダメってほどではないが、他機種に比べるとわずかコンマ数秒ほど遅いように感じる程度。
ミラーレス機にしてはバッテリー等を含めて700g超と重い部類だが、『LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6』を装着した本機を持った際、グリップがしっかり握れて安定しているせいか、数値のわりにはそれほど重さは感じなかった。 - SONY α7 III
総合力は圧倒的。小型軽量なのに『フルサイズ』という虚栄心を満たしてくれる。操作系もまあまあよいし(ISO設定操作だけ不満)、レンズ選択肢がサードパーティ製含めて豊富なところもよい。難点はフルサイズゆえにレンズが高価な点、そしてレンズは重い点。
AFスピードが速いし、追従性もよいし、動体もポートレートもオールラウンドになんでもこなせそうな雰囲気はある。キャッシュバックキャンペーンも定期的に開催されているようだし、時期を間違えなければフルサイズとしては意外とお安く購入できる点もまたよい。発売から3年経過しているのに、いまだに最新機種とタメを張れるというのは素直にすごいことだと思う。 - FUJIFILM X-S10
APS-C機となるが、操作性やグリップ感は小型軽量モデルなのによい。特にグリップを握ったときに小指が余らない点が高評価。難点は前後ダイヤルのうち後ダイヤルが(Mモード以外)露出固定になっている点。割り当てを変更できればよいのだが、説明書を確認したところ変更不可となっていた。
FUJIFILMはAPS-C向けのレンズがサードパーティ製を含めて豊富なところがよいだけに、後ダイヤルの割り当て変更ができない点はとても悔やまれる。 - FUJIFILM X-T4
こちらもX-S10同様のAPS-C機。小型軽量で一見すると操作感は良さそう。ただ、量販店で触ったときにバッテリー残量がほとんどなく、操作しているうちにディスプレイが暗くなってしまって十分に試すことができなかった。
性能的には良さそうだし、試せた範囲では前後ダイヤルで絞り、シャッタースピード、ISO、露出の変更が実現できたので、操作感への満足度は高そう。またなによりいいのが、ボディとレンズをあわせた全体構成が軽くてコンパクト、持ち運びが苦にならなそうな点。レンズも比較的お安めで、組み合わせの妄想がかなり捗る。
一点気になるのが、ボディ上部のシャッターダイヤルやISOダイヤル。オートは意味的に理解できるが、それ以外の数値部分については、いずれかにあわせると固定になるのか上限になるのか、固定だとした場合はダイヤル操作による変更と何が異なるのかよくわからなかった。 - Canon EOS R系
シャッターダイヤルの位置が好みではなく、あまり触ることなく終わってしまった。 - Nikon D500 と D7500
レンズ資産を活かせ、D500は5年も経過したので比較的値落ちして手が届きやすくなった点がよく、D7500は10万円前後で購入できる点がよい。D500に至っては、性能面でまず後悔することはないだろうと思う。D5300の買い増しなので、D7500でも十分に満足はできそうだ。
しかし、D500を例に取るといまさら5年前のレフ機を大金出して買うほどなのだろうかという迷いがあり、ミラーレス機に比べて両者とも全体構成は(APS-C用レンズが乏しいことから)重くなる傾向が強く、そうなるとゴツくなる。またファインダーを覗いたときの操作性は、最近のミラーレス機に比べて劣る感じが否めない。購入したのはいいが、使うのは最初のうちだけになりそうな未来が鮮明に見えてきそうで怖い。 - PENTAX K-1 Mark II
他社と比べて、比較的安価にフルサイズ一眼レフ機を手に入れることができる点がよい。星景撮影が好きなので、アストロトレーサーに俄然興味が湧く。難点はとにかく重い点。
実物を見た瞬間、これは使わないなと思って早々に候補から外した。
フルサイズ?APS-C?
量販店でα7 IIIを積極的におすすめされたこと、キャッシュバックキャンペーンや値引きなどで20万円程度でフルサイズミラーレス一眼を手にすることができそうなこと、性能的に優れていそうなことなどからα7 III購入一歩手前まで進んだが、いったん歩みを止めた。
軽くて、それでいていつかは購入しようと考えていたフルサイズ。レンズの選択肢も多くて組み合わせの妄想が捗りそう。キャッシュバックキャンペーンで安くなるし、手に入れるなら今しかない!しかし冷静に考えてα7 IIIは購入候補から外した。
購入を踏みとどまった第一の理由としては家族の承諾を得られなかったことだ。ただそれだけではない。なんとか承諾を得ようと考えていろいろ情報を集めているとき、以下の点が気になって購入候補から外したのだ。
- レンズのひとつひとつが高価
- フルサイズの何がよくて欲しいのか
レンズはボディと一緒にがんばって一本を購入したとして、きっと二本目は購入できないだろうと推測。下手すると、レンズだけはショッピングローンを組んで買う羽目になるかもしれない。
そしてフルサイズ。具体的にフルサイズにすると何が自分にとってのメリットなのだろう・・・?わからないので情報を集めたところ、フルサイズのメリットを語る様々なサイトで、主に下記が理由として多かった。
- ボケがよい
- 画質がよい
- 暗所に強い
メリットを語るサイトにおいて、何を基準に画質がよいと言っているのか不明確であったが、おそらく『ボケがAPS-C機などに比べてよい=画質がよい』ということなのだろうと解釈した。画像を構成しているピクセルがきめ細やかで被写体がぼやけず立体的に写し出されるといったような(この表現方法が適切かどうかはともかく)、納得がいく解説はなかったように思える。
ちなみにフルサイズが他のセンサーサイズに比べてボケが強いのは、被写界深度が浅いからだそうだ。裏を返すと絞ったときにピントを合わせることが難しく、そういったことからかなりごまかしが効かないと言える。
果たしてフルサイズのメリットとして挙げられる点について、自分には必要なのだろうか。そんなことをぐるぐると考えているうちに、購入後も費用が馬鹿にならないフルサイズは見送りかなと考えるようになった。
全体構成で考えたい
ぐるぐるぐるぐる、あーでもないこーでもないを繰り返した。内訳はこうだ。
- 操作性が納得できるか
- レンズ選択肢が豊富か
- お手頃価格で手に入るレンズはあるか
- 動体撮影性能はよいか
- 室内撮影性能はよいか
- 重さはどうか
どれもこれも一長一短があり、やはり何かを捨てないと手に入らないものがある。冒頭であげた候補機種からは選びきれないのだ。それでもフルサイズ機は切り捨てた。金銭的に難しいというのもあるが、フルサイズで得られるメリットが必須かどうか不明な点、そして全体構成で考えるとミラーレス機にしたとしても総重量は重くなる点が理由だ。
そうしたことから最終候補に選ばれたのは、FUJIFILM X-T4だ。まず軽い。そしてレンズ群は大体において軽くお手頃価格、そして種類が豊富だ。ポートレートや風景用に焦点距離の短い単焦点や標準ズームを組み合わせは、他機種に比べてかなり軽い。そして量販店で触った感じでは操作性はそう悪くない。ネット上の評判もよさそうで作例として挙げられる写真は美しい。これはもう、許可を得ることができれば購入かな。
よし、X-T4にしよう。だいぶ決意は固まった。